ネット通販や電話、メール、SNS等であなたや身内の方が詐欺被害やトラブルに巻き込まれた場合、どこに相談すべきか戸惑われると思われます。
実際に被害やトラブルに遭ったり巻き込まれそうになった場合は、極力早い段階で相談窓口に相談すれば、被害を食い止めたりお金を取り戻したりすることが可能になります。
当記事では、そんな時に相談すべき窓口や安心して無料で相談できる公的窓口をご紹介します。
Ⅰ.詐欺被害の最小化は適切窓口への相談の早さが勝負!
増える一方のネット通販や詐欺メール等での詐欺被害の多くは、実際に、トラブルに遭った際に、打つ手が後手に回ってしまうことによって取り返しが付かない状況に陥ってしまいます。
トラブルに遭った際は、できるだけ早く、安心できる窓口に相談することが重要です。
当記事では、ネット通販等で詐欺被害に遭ったり遭いそうになった時に相談すべき窓口や被害を取り戻すための手順をご紹介します。
なお、ネット上では、法律事務所等の無料と称する相談窓口が溢れていますが、よほどの重大な被害の場合は別として、公的窓口に相談されることをおすすめします。
Ⅱ.ネット詐欺等の相談窓口
被害を被った時の相談窓口と被害を取り戻す為にどのようにすべきかについてをご紹介します。
詐欺被害に遭った時、また遭うと思われた時は、まず詐欺に関係する銀行や通販などの「相談センター」に問い合わせて情報の確認を行なう事が先決です。
次に、実被害が及ぶと思われる場合は、安心で無料の公的相談窓口である警察や消費者庁等の相談窓口に相談するこをおすすめします。
1.まず、銀行や通販等の取引関係先へ問い合わせ、相談する
詐欺に遭ったり遭いそうになった場合は、まず、詐欺との取引に関係する銀行や通販会社(楽天やAmazonなど)の相談センターに連絡をとって事実関係や確認したり情報を共有することが第一です。
特に、お金を銀行口座に振り込んだ場合は、早急に振込み銀行へ連絡して被害の有無の確認を行なう事が重要です。
なお、詐欺が使った電話やメールの取り扱い窓口についても相談先で得られる情報がないか確認します。
以上のように、相談センターからの情報はできるだけ早く取り、事実関係を整理しておくことが、消費者センターや警察との相談にも役立ちます。(もちろん、警察や消費者センターとの相談の中で、それらアドバイスを受けます)
2.公的相談窓口
被害額を取り戻すためには、ネット通販詐欺の全般および被害の救済までを扱う公的機関窓口「消費生活センターまたは国民生活センター」に相談するのが最も適切です。
1)消費・国民生活センター「ネット詐欺相談窓口」
消費者センター及び国民生活センターは、商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問い合わせなど、消費者からの相談を専門の相談員(消費生活相談員)が受付け、公正な立場で処理に当たっています。
インターネットトラブルの中でも、物品の購入、サービスの授受、悪質な商法、詐欺行為などの商取引に関係する全般的な相談を受け付ける最も間口の広い窓口です。
「消費生活相談員」が、事業者との交渉方法や具体的な解決策などについても助言します。
消費者センターと国民生活センターとは運営元が異なりますが、サービス内容はほとんど同じでお互い連携しているのでどちらを利用しても結構です。
(消費者センターは地方公共団体が運営、国民生活センターは国が運営)
「消費者センター」は、全国にあるので居住地の消費生活センター等をご利用ください。
「国民生活センター」は、相模原事務所と東京事務所があり土日祝日も利用可能なので、平日休みの取れない方でも利用できます。
◎センターへの相談は、まず、消費者ホットライン電話「188」へ
消費者ホットライン(局番なしの『188』イヤヤ)に電話すると、音声ガイダンスが流れ、郵便番号を入力するなどを行えば、お住まいの地域の「消費生活センター」等へ案内されます。なお、土日祝日は、国民生活センターに電話がつながります。
消費者生活センターでは、悪質商法等による被害、不適切な表示に関するトラブル、製品やサービスなどによる事故などについて電話で相談できる窓口です。
相談にあたっては、氏名、住所、電話番号、性別、年齢、職業などを聞かれます。
詳細につきましては消費者ホットライン(消費者庁)をご覧ください。
2)警察のネット詐欺相談窓口
警察は、犯罪を取り締まる機関なので犯罪を捜査して犯人を検挙する協力は期待できますが、被害額の救済まで期待することはできません。
(1)「都道府県警察本部サイバー犯罪相談窓口」
警察庁・警視庁では、ネット上での詐欺や悪質商法、不正アクセス、インターネットオークションなどのサイバー犯罪の被害や、被害に遭いそうになった時の相談を受け付けています。
基本的に何でも相談できますが、警察が捜査を始めるには、「被害届け」を提出する必要があります。
相談や被害届けを提出する場合は、「各地域警察の被害相談窓口」又は「サイバー犯罪相談窓口」へに連絡をしましょう!緊急通報の場合は110番へ連絡しましょう!
[各都道府県警察の被害相談窓口一覧]
警察庁が運営する犯罪被害者等施策のホームページ。主な犯罪被害者等施策、犯罪被害に関する相談機関等、イベント情報、犯罪被害者白書の紹介など。
北海道・東北地方へ · 関東地方へ · 中部地方へ · 近畿地方へ
なお、フィッシング詐欺については、下記の各都道府県警察窓口に専用ページが設けられていますのでそちらも利用しましょう!
[都道府県警察のフィッシング報告専用窓口一覧]
(2)「警察相談専用電話#9110」
こちらは、まだ実被害は確認出来ていないが、詐欺被害を受けると思われる場合は、まず、「警察相談専用電話#9110」に電話して相談しましょう!
そして、詐欺被害を被ったことが明らかな場合には、警察署の「犯罪被害相談窓口」に電話しましょう!
なお、インターネットを介しての被害の場合には、「サイバー犯罪相談窓口」にも電話をして専門的な見地でのアドバイスをもらいましょう!
(3)「インターネット・ホットラインセンター」(警察庁)
「インターネット・ホットラインセンター」は、インターネット上の違法情報の通報を受付けて警察に情報提供し、サイト管理者等に対し削除を依頼します。
誹謗中傷やポルノ画像や動画が違法に拡散された場合、ここに通報を行います。
なお、個別の対応(被害届や捜査)が必要な場合、ここへの通報と併せて、各都道府権警察の相談窓口に連絡をしましょう。
3)その他の公的機関
その他のフィッシングや迷惑メールの公的な対策窓口には、「フィッシング対策協議会」や「迷惑メール相談センター」がありますが、これらは、相談窓口というよりも、フィッシング状況を把握して対策を推進するための通報窓口であったり、「不特定多数へ同意を得ずに送られる広告宣伝目的の迷惑メールの監視」に限定された機関であるため、詐欺被害の個別相談窓口にはなりません。
(1)フィッシング対策協議会
フィッシングに関する情報収集・提供、フィッシングの動向分析、フィッシングに関する技術・制度的対応の検討を行なっており、通報窓口です。
フィッシングと思しきメールを受け取った場合には、メールのリンクを安易にクリックせず、そのメールを転送、もしくは、フィッシングメールのタイトル、本文、差出人名、送信日時、概要などを記載の上、以下のメールアドレスに送って通報します。
必要な場合は、アドバイスを受けられるかも知れません。
※フィッシングのご報告は、以下の受付窓口へお送りください
フィッシングの報告 https://www.antiphishing.jp/registration.html
(2)迷惑メール相談センター
このセンターは、「不特定多数へ同意を得ずに送られる広告宣伝目的の迷惑メールの監視」であるため、電話相談は、「不特定多数へ同意を得ずに送られる広告宣伝目的の迷惑メールの監視」に関する相談のみに限定されているので、基本的には、詐欺被害の相談窓口にはなりません。
Ⅲ.ネット詐欺被害を受けた際の対応手順
ここでは、「ネット通販で物品を購入して現金を振り込んだが、物は届かず、相手との連絡も取れなくなってしまった」ケースを想定し、振り込んだ現金を取り戻す為に関連機関とどのように相談し行動していけばいいかの手順をご紹介します。
1.被害の事実確認と「振り込め詐欺救済法」の理解
関連機関と相談するには、まず、受けた詐欺被害の事実や証拠等の情報を整理する必要があります。
また、被害を取り戻す為には、「振り込め詐欺救済法」の存在を知っておく必要があります。
以下、手順をご紹介します。
1)詐欺被害の事実を確認し証拠類を揃える
ネット通販詐欺に遭ったかもしれないと考えられる場合は、詐欺にかかっていないかを迅速に確認する必要があります。
「銀行振込で代金を前払いした」のに「商品が届かない」場合は、詐欺が濃厚なので、すぐに警察や銀行などの関係各所に相談しなければなりません。
後ほど説明しますが、早ければ早いほど被害を取り戻せる確率は高まります!
そのためには、詐欺被害が立証できる証拠になるもの(電話の録音、メールでのやり取り、サイトのURL、詐欺が使った銀行口座、購入した商品情報など)を整理しまとめる必要があります。
2)「振り込め詐欺救済法」が被害を取り戻す根拠であることを知る
(正式名称「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」)
この法律は、振り込め詐欺等の犯罪行為により被害に遭われた方の為に、金融機関の犯罪利用口座に振り込まれ、口座に滞留している犯罪被害金の支払手続等を定めたものです。
従って、振り込め詐欺の被害にあった場合、すぐに警察や振込先の金融機関に連絡を行えば、「振り込め詐欺救済法」に基づき、振り込んだ口座を凍結(利用停止)し、その口座の残高や被害額に応じて、被害額の全部又は一部(被害回復分配金)の支払いを受けられる可能性があります。
※「振り込め詐欺救済法」より被害額は取り戻せる可能性がある 「被害届」を警察に出し、そのことを銀行に連絡すると、「振り込め詐欺救済法」に基づき、詐欺の口座が凍結される可能性があります。その場合は、口座の残高に応じて、被害額の一部や全額が返金されます。 返金を受けるには、申請期間中に申請し、所定の手続きを行う必要があります。 ※返金手続きは、預金保険機構のサイトを参照 銀行は、警察や金融庁からの連絡を受けて犯人の口座を凍結します。 口座が凍結されれば犯人は出金できなくなるため、いかに早く凍結できるかが返金を左右します。 次に、凍結した口座に対し、犯人の権利行使の届け出を求める公告が預金保険機構のサイトに60日間以上出ます。 届け出受付期間中に犯人からの届け出(連絡)がなければ口座が消滅し口座は消滅し、銀行から被害者に対し資金分配の手続きが案内されます。 預金保険機構サイトに、被害回復分配金支払い申請の公告が出て30日間以上の受付期間中に申請をします。 なお、口座に残金がある場合は預金保険機構へ収められ終了となります。 |
2.ネット詐欺で銀行に支払った現金を取り戻す行動手順
ここでは、「ネット通販詐欺で5万円を相手先銀行口座に入金したが、購入した物品が届かず相手との連絡も取れなくなった」ことを想定して、被害を取り戻すための行動手順をご紹介します。
1)すぐに「警察」と「銀行」に相談し詐欺サイトへの会員登録も抹消する
(1)警察に被害届を提出する
「被害届け」により、「振り込め詐欺救済法」の対象となり、被害額を戻してもらえる可能性に繋がります。
◎「被害届け」に必要な資料取り纏め
詐欺被害の経緯と商品購入のメールや画像、振り込みの控え、メールのやりとりなどの資料を取り纏めておきます。
◎「被害届け」の提出
警察署か、都道府県別の「サイバー犯罪対策窓口」へ連絡をとり、「被害届け」を出して相談したい旨伝えます。
なお、「被害届」は、金額の大小にかかわらず届け出るべきで、「被害届け」が無ければ、銀行側は、犯人の口座を凍結することはできません。
◎「告訴状」の提出(これは弁護士等への相談が必要になる)
「告訴状」は、被害届や自首、職務質問、おとり捜査などと同様に捜査機関が犯罪事実を把握するための一手段です。
※捜査の前に行われるのが告訴、捜査の後に行われるのが起訴です
「告訴状」を出す場合は、弁護士に作成してもらい、弁護士が代理人として提出すると受理される確率を高くできます。(通常は、ここまでやる必要はありません)
(2)次に、銀行に相談する
警察に「被害届け」を出したことを現金を振り込みんだ銀行に報告し、「組戻し」と「振り込め詐欺救済法に基づく凍結の手続き」のいずれかをとってもらうよう相談します。
「振り込め詐欺救済法に基づく凍結の手続き」とは、犯罪利用された口座を凍結し、そこに残ったお金を被害者へ配分するという方法を銀行にとってもらう方法です。
「組戻し」とは、振り込んだお金を相手の了解のもと戻してもらう方法ですが、実際には、詐欺においてありえません。
従って、「口座凍結」を銀行にとってもらうことになります。
(3)詐欺サイトに登録した会員情報を削除する
購入に際して、詐欺行サイトに個人情報などを登録した場合は、個人情報を悪用されないために、すぐに退会手続きを行う必要があります。実際は、無理かも知れません。
2)「預金保険機構」のサイトで詐欺口座情報を確認する
預金保険機構は、預金者の保護を目的に預金保険制度を適切に運用すること等を使命としており、預金保険機構のサイトには、詐欺の口座の凍結、被害回復分配金の支払い手続きなどの公告が掲載されています。
従って、被害に遭った詐欺の口座番号が凍結されているか、また、凍結手続きを取った後にそれをが確認することができます。
3)消費者センター(又は国民生活センター)に相談する
消費者センターには、「ネット通販詐欺の相談窓口」があります。
警察は犯人を逮捕できますが、被害の救済には関与しないので、被害を取り戻すための相談は、消費者センターが一番頼りになります。
Ⅲ.最後に
ネット通販などで詐欺被害に遭った場合の相談窓口は、警察、消費センター、銀行や通販などの取引関係先の相談センター等になります。
現金を取り戻すには「口座凍結」が最も可能性が高い方法ですが、口座に残された現金があるかが勝負です。
この為、警察への「被害届け」提出と銀行への連絡を迅速に行なう必要があります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ーーーーーーー 完 ーーーーーーー
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