住宅リフォームは確定申告で所得税や固定資産税だけでなく、親等からのリフォーム支援贈与の贈与税なども軽減措置が受けられる可能性があります。
しかし、住宅リフォームで税の軽減措置を受けるには確定申告が必要です。
過去5年以内にリフォームされた方は、軽減措置対象に該当するかどうかを知って確定申告されることをおすすめします!
目 次
Ⅰ.住宅リフォームで受けられる税制優遇制度
住宅リフォームは景気振興の一環となるため、住宅をリフォームした場合、工事内容や住宅要件を満たしていれば、以下のような各種税制で優遇措置が受けられます!
対象税制 | 優遇措置適用の要件概略 |
1.所得税 | 住宅をローンや自己資金でリフォームをした場合、工事内容や住宅要件を満たしていれば、確定申告で所得税の控除を受けることができる |
2.固定資産税 | 耐震、省エネ等の工事に50万円以上をかけてリフォームした場合、確定申告で1年間に限り固定資産税の二分の一又は三分の一が減額措置が受けられる |
3.贈与税 | リフォームのために父母や祖父母から資金の贈与を受けた場合、確定申告で一定額まで贈与税がかからない非課税措置の適用が受けられる場合があります |
以下、それぞれの税制での税制優遇措置の内容をご紹介します。
1.住宅リフォームの所得税減税措置
住宅リフォームに適用される所得税の減税は、「ローン負担軽減の為のローン減税」と、ローンに関係なく「省エネ等推進の為に支援する省エネ等推進目的別の投資型減税」とに区分されます。
減税目的 | 減税制度 |
1)ローン負担軽減の為の 「ローン減税」 |
10年以上融資対象の「住宅ローン減税」 |
5年以上融資対象の「ローン型減税」 | |
2)省エネ等推進目的の 「投資型減税」 |
省エネのための「投資型減税」 |
なお、リフォームの種類や内容により、利用できる制度が違いますが、併用できる場合もあります。
1)ローン負担軽減の為の「ローン減税」
ローン減税は、融資期間の長さによって、①10年以上融資対象の「住宅ローン減税」と②5年以上融資対象の「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)があります。
①「住宅ローン減税」
「住宅ローン減税」は、10年以上のローンを利用した場合に適用されます。
住宅ローンを利用して、「増築」や「省エネ」、「バリアフリー」など、100万円を超えるリフォーム工事をした場合に対象になります。
なお、新築住宅の取得に対するローンの場合、令和4年度税制改正により、控除率は1%から0.7%に引き下げられ、控除期間は最長10年から最長13年へと延長されました)
制度名 | 「住宅ローン減税」(住宅課借入金特別控除) |
対象者 | ・返済期間10年以上のローンを借りてリフォームをした者 ・半分は自分の居住用である住宅 ・本人の所得3千万円以下 |
要件 | ・増改築、一室の修繕、耐震補強、バリアフリー、省エネなどの改修工事など一切 ・リフォームする住宅の専有面積が「50平米以上」 ・補助金等を除いたリフォーム費用が「100万円以上」 などの条件がある。 |
減税の内容 | ・10年間に亘り、年度末のローン残額(限度額4000万円)の1%分(令和4年度税制改正により1%から0.7%に引き下げられた)が「10年間」所得税から控除される。 但し、年間控除額は最高40万円(認定優良住宅50万円)、10年間で最大400万円(認定優良住宅500万円)が限度 なお、2019年10月1日以降(消費税率10%)のリフォームは、控除期間は13年。・控除しきれない場合は、翌年の住民税から13万6500円を上限に控除。 ・初年度に確定申告していれば、2年目以降は年末調整で可能。 |
なお、住宅ローン減税は、令和6年度税制改正において、制度内容が一部下記のような内容に変更されています。(詳しくはこちら)
②「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)
「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除)は、5年以上の住宅ローンを利用した場合に適用されます。
5年以上の住宅ローンを利用して、バリアフリー工事や省エネのための断熱工事、同居対応・長期優良住宅化リフォームをした場合等の特定の増改築住宅借入金等に対し、リフォーム工事の内容別に費用の2%又は1%の所得税の特別控除が受けられます。
制度名 | 「ローン型減税」(特定増改築住宅借入金等特別控除) |
対象者 | 返済期間5年以上のローンを借りてリフォームをした者 |
要件 | ・「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化」の一定要件(工事内容や住宅要件)を満たすこと |
減税の内容 | 下記の(1)(2)の合計額または「控除限度額」のいずれか少ない額が、改修後から「5年間」、所得税から控除される。 但し、年間最大控除額は12万5000円、5年間で最大62万5000円になります。 また、各年の所得税額より控除額が多い場合は、所得税額が上限となる。(1)年末のローン残高のうち、対象リフォームであるバリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化リフォーム工事費用(限度額250万円/補助金を除く)分の2% (2)ローンのうち、対象リフォーム以外の工事費用相当分(限度額は(1)と合わせて1000万円)の「年末ローン残高の1%」 |
補足 | 併せて耐震リフォームを行う場合は「投資型減税」との併用ができる。 |
2)エネ等推進目的別の「投資型減税」
住宅ローンを利用していなくても、所得税の控除が受けられる制度です。
耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化等のリフォームをした場合、確定申告によって1年間、工事費等の10%が所得税から控除されます。
控除対象限度額があって、リフォーム内容で異なります。
制度名 | 「投資型減税」 |
対象者 | 住宅ローンの利用有無に関わらず適用 |
要件 | 「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「同居対応」「長期優良住宅化(耐久性向上)」の一定要件を満たすリフォームであること。
耐震とバリアフリーの両方を行う場合など、制度の併用ができるものもある。 |
減税の内容 | 標準的な工事費用相当額(補助金等を除く)の10%、または「控除限度額(下記)」のいずれか少ない額が1年間控除される。
ただし、所得税額より控除額が多い場合は所得税額が上限となる。 控除限度額は、リフォーム内容によって異なります。 ・耐震、省エネ、同居対応、耐久性向上の場合、25万円(省エネリフォームで太陽光発電装置を設置する場合は35万円) ・バリアフリーリフォームの場合、20万円 これらリフォームにあわせて太陽光発電システムを設置したり、内容が異なるリフォームを一緒に行った場合には、控除対象限度額が上がるものもあります。 |
2.住宅リフォームの固定資産税減税措置
耐震、省エネ、バリアフリーの為のリフォームについて次の様な基準で、次年度の固定資産税の減額を受けられます。
種 別 | 要件 | 固定資産税の減税額 |
「耐震」
リフォーム |
昭和57年1月1日以前に建てられた建物(戸建て・マンション・アパート含む)で工事費用が50万円以上の新耐震基準に適合する工事であること | 翌年分の固定資産税の2分の1を1年間減額(指定道路沿い住宅は2年間) |
「省エネ」
リフォーム |
平成20年1月1日以前に建てられた自家で省エネリフォーム工事費用が50万円を超えていること | 翌年分の固定資産税の3分の1を1年間減額 |
「バリアフリー」
リフォーム |
・次のいずれかの方が居住していること ①65歳以上の方 ②要介護または要支援の認定を受けている方 ③障害がある方・築年数が10年以上経過しており、リフォーム後の床面積が50平方メートル以上であること ・バリアリフリーが次のいずれかに該当すること |
翌年分の固定資産税の3分の1(ただし1 00平方メートルまでに限る) |
(補足)
固定資産税は、土地や建物等の評価額によって決まります。
地域や建物の構造、設備などで異なりますが、戸建ての平均は年額10~12万円程度と言われるので、二分の一であれば5万円程の減額となります。
3.住宅リフォームの贈与税非課税措置
リフォームのため、父母や祖父母から資金贈与を受けた場合、一定額まで贈与税がかからない非課税措置が設けられています。
●支援対象:住宅取得費用の贈与を受けて行う省エネ性能等に優れた住宅の新築、および、住宅取得等費用の贈与を受けて行う省エネ性能等を有する住宅への改修工事
●内容:一般住宅に比べ、非課税限度額を500万円加算
[贈与税の非課税額]
この措置には期限がありますので、利用される場合は、財務省のホームページの最新情報確認が必要です。
なお、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は、令和6年度税制改正において、適用期限が3年間延長されることとなりました。(詳しくはこちら)
Ⅱ.リフォームの減税適用には確定申告が必要
以上の住宅リフォームによる税優遇措置を受けるためには、確定申告が必要になります。
また、これら減税優遇措置を受けるためには、各優遇制度利用に必要な書類を取りそろえた上で確定申告をする必要があります。
確定申告に添付しなければならない必要な書類は、各優遇措置制度によって異なりますので各制度をご覧願います。
なお、煩わしいと考えられがちな確定申告は、e-Taxを使えばパソコンやスマホで家にいながら税務署への申告手続きが完了できます。
e-Taxを使ってPCで簡単に確定申告を!
e-Taxを使って、パソコンやスマホで確定申告をする為に必要な事前準備と作成手順は、次の記事をご参考に願います。
◎「記事を次の『パソコンでe-taxを使って確定申告する際に必要な事前準備と作成手順』」 |
なお、パソコンでe-taxで確定申告をする際、マイナンバーカードで認証を受ける為には、マイナンバーカードに対応しているICカードリーダーか、読み取りに適したスマホが必要になります。
簡単に読み取りができるICカードリーダーは、マイナンバーカード対応製品である必要があります。(対応は、「公的個人認証サービス」のポータルサイトで確認できます)
◎おすすめカードリーダー
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Ⅲ.最後に
ローン会社からの説明を受けるで住宅購入時と違って、リフォームの場合、減税措置を知らずに確定申告をしない人が多いと聞きます。
住宅リフォームも確定申告で所得税(含む住民税)や固定資産税、贈与税などの各種の税制優遇制度が受けられます。
是非、優遇措置を知って確定申告で住宅リフォームによる税の節減を確実にしましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ーーーーーーーーーー 完 ーーーーーーーーーーー
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