確定申告|株式等運用で損した場合の申告による節税方法と事例解説

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株取引で損(配当を含めても損)した場合に、確定申告は福の神(節税補償)に変身!

「特定口座で源泉徴収選択」の場合、年間取引で損となれば、証券会社では、年度末に同口座の配当と損益通算して配当で徴収された税が還付されます。

これは、証券会社が株式取引損益と配当との損益通算を分離課税方式で節税してくることによるものです。

しかし、証券会社では、その年度で損(配当を含めても損が残る)となった場合や、他の証券会社口座との通算や過去の繰越控除(損)と損益通算などは行なってくれません。

従って、これらの場合は、自分で確定申告して節税する以外に方法はありません。

当記事では、株取引で損(配当を含めても損)した場合に、損が福の神(節税補償)となる確定申告の方法をご紹介します。

Ⅰ.株式等運用で「損」した場合の確定申告の重要性

株式等の運用をしている場合、年度末において取引している各証券会社の口座では、売買取引での損益と配当を合算すれば益となった場合や赤字になる場合があります。

いずれの場合も、確定申告すれば節税に繋がることが多くあります。

1.配当込みで「益」となる場合の確定申告方法

売買損益と配当を合算して益が残る場合は、確定申告により、

①「他口座に損があれば損益通算する」
②「過去の繰越控除があればそれと損益通算する」

などの節税方法があります。(細部は、「株取引の確定申告|株で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説」をご参考に願います。)

2.配当込みでも「損」となる場合の確定申告方法

売買損益と配当を合算しても赤字(損)となる場合は、確定申告により、

①「他に益(配当含めて)となった口座」がある場合は、その口座と損益通算してその口座の利益を圧縮して節税する
②「他に益(配当含めて)となった口座」がない場合は、損を繰越(「繰越控除」)し向後3年間の利益の圧縮(損益通算)に使って節税する

などの節税方法があります。

なお、配当を含めても損となる場合は、配当にかかった税金は全て当該証券会社から既に還付を受けているので総合課税方式を選択しても配当控除のメリットは受けられないばかりか、住民税等で不利益になる場合があるので注意が必要です!

以上から、株取引で損した場合には、儲けた他口座との損益通算や、次年度以降の儲けが圧縮でき、税金を払わず売価の100%が収益化できるなどの節税対策がとれます。

従って、株で損した場合は、確定申告により節税の「種」を得ることになるので、確定申告が重要となります!



Ⅱ.株等運用で損した場合の確定申告による節税方法

株で損した場合の年度末の株式口座(特定口座で源泉徴収選択とします)の状況には、次の2つのケースがあります。

1.株取引は損となったが配当を含めると黒字となった場合
2.株取引は大きな損となり配当を含めても赤字と黒字となった場合

1.株取引は損となったが配当を含めると黒字となった場合の節税方法

株取引は損となったが配当を含めると黒字となった場合」は、その証券会社の口座が「特定口座で源泉徴収選択」であれば、配当で支払った税金は、年度末の損益通算によってその分の税金還付を証券会社から受け取っています。

従って、残された配当の支払い済み税金については、

①分離課税方式により、「損となった他口座」或いは「過去の繰越控除」との損益通算する

②総合課税方式により、残された配当の課税分についての「配当控除」を受ける

等の節税方法があります。

細部は、「株取引の確定申告|株で儲けた時の確定申告による節税方法と事例解説」をご参考に願います。

2.株取引での損が大きく配当を含めても損となった場合の節税方法

この場合の確定申告による節税方法は以下の2通りの方法があります。

なお、配当を含めて赤字の場合は、配当にかかった税金も既に証券会社で(分離課税方式により)還付されているため、総合課税方式は選択できません。※

※上場株式等に係る譲渡損失(赤字)と上場株式等に係る配当所得との損益通算は、申告分離課税を選択したものに限り可能であり明細書を添付することになっています。

1)益となった別口座と損益通算(利益圧縮)して税を軽減する

他の証券会社に口座があり、配当を加えて黒字であれば、その黒字と損益通算して利益を圧縮し税金を戻してもらうことができます。(「分離課税方式」による確定申告)

2)損を繰越し向後3年間の利益(含む配当)と相殺して税軽減に利用する

他の口座の利益と相殺しても赤字が残った場合、分離課税方式による確定申告で損を繰り越して向後3年間の利益相殺ができる「繰越控除」の申告を行う。

なお、配当を含めて赤字の場合は、配当にかかった税金も既に証券会社で(分離課税方式により)還付されているため、総合課税方式は選択できません。※

3.配当含めて損の場合の事例による節税方法解説

上述の「損した場合の確定申告による2つの節税方法」の各方法を、数字を使って事例化しました。

1)益となった別口座と損益通算して税を軽減する事例

複数の口座を持っていて、一部の口座で損(配当を含めても)が出ている場合、適当な口座間で「損益通算(利益圧縮)」の申告をすれば税還付が受けられます。

あくまでも損に見合う口座を選んでその口座の益を減らせば良いのです。(すべての口座を取り上げる必要はありませんので、ご注意を!)

◯事例:2証券会社で特定口座を持っている場合

<ケース1:配当含めて損失55万円の場合>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失100万円配当45万円損合計55万円源泉徴収税 0円
B口座 利益200万円と配当45万円で益合計245万円、源泉徴収税38万円

A口座では、損合計が-55万円(-100+45)で所得税は0で納めていない。
B口座では、所得合計が245万円(200+45)で所得税38万円が源泉徴収されている。二つの口座を損益通算すると、所得合計は190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると29万円となる。

従って、実際に負担すべき所得税が29万円となり、既に38万円を納付しているので、9万円(38-29)が還付されます。

<ケース2:配当含めて損失155万円の場合>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失200万円配当45万円損合計155万円源泉徴収税 0円
B口座 利益200万円配当45万円益合計245万円源泉徴収税38万円

A口座では、損合計が-155万円(-200+45)で所得税は0で納めていない。
B口座では、所得合計が245万円(200+45)で所得税38万円が源泉徴収されている。この二つの口座を損益通算すると、所得合計は90万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると14万円となる。

従って、実際に負担すべき所得税が14万円となり、既に38万円を納付しているので、24万円(38-14)が還付されます。

<ケース3:配当含めて損失255万円の場合>

口座名 損益と配当収入及び支払った所得税合計額
A口座 損失300万円と配当45万円で損合計255万円、源泉徴収は 0円
B口座 利益400万円配当45万円益合計445万円源泉徴収税68万円

A口座では、損合計が-255万円(-300+45)で所得税は0で納めていない。
B口座では、所得合計が445万円(400+45)で所得税68万円が源泉徴収されている。二つの口座を合計して損益通算すると、所得合計は190万円(245-55)であり、これに株取引所得税15.32%を乗じると29万円となります。

従って、実際に負担すべき所得税が29万円となり、既に68万円を納付しているので、39万円(68-29)が還付されます。

以上の様に、配当含めた損失額に15.32%乗じた金額が還付されることになります。従って、損失額が大きいほど税軽減効果は大きくなります。

ここでは、損失を超える利益(含む配当)が他口座にある場合を想定しましたが、利益が足りなければ、損は、「繰越控除」として翌年以降に持ち越せます。

2)損を繰越し次年度以降の利益と相殺して税軽減する事例

他の口座の利益と相殺しても赤字が残った場合、あるいは、相殺できる他の口座がない場合は、「分離課税方式」による確定申告により、損を繰り越して向後3年間の利益(配当含む)と相殺ができる「繰越控除」の申告を行う方法です。

なお、配当を含めて赤字の場合は、配当にかかった税金も既に証券会社で還付されているため、総合課税方式で確定申告はできません。

「繰越控除」とは

「繰越控除」は、確定申告で3年間を限度として損を繰り越せる制度です。

向後3年間において儲かった利益(含む配当)と相殺して、当該年度で源泉徴収された所得税の還付を確定申告により受けとれるための仕組みです。

◯事例:繰越控除額の違いによる節税事例

<ケースⅠ:損110万円を繰越控除した場合>

翌年度の取り引きが、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり、所得税75万円が源泉徴収された場合、

繰越控除の110万円と損益通算して利益を380万円(490-110)に圧縮、
これに所得税率15.32%を乗じて納めるべき税金は、58万円とし、源泉徴収された75万円から17万円(75-58)を還付してもらうことになります。

<ケースⅡ:損310万円を繰り越した場合>

翌年度の取り引きが、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり、所得税75万円が源泉徴収された場合、

繰越控除の310万円と損益通算して利益を180万円(490-310)に圧縮、
これに所得税率15.32%を乗じて納めるべき税金を28万円とし、源泉徴収された75万円から47万円(75-28)を還付してもらうことになります。

<ケースⅢ:損600万円を繰り越した場合>

翌年度の取り引きが、利益400万円と配当90万円の合計490万円となり所得税75万円が源泉徴収された場合、

繰越控除の600万円の内、490万円の損と損益通算して利益を0円(490-490)に圧縮、納めるべき税金を0円とし、源泉徴収された75万円全額を還付してもらうことになります。

そして、繰り越した損600万円は、翌年度に490万円分が利用されたので、残り110万円は、引き続き2年間の有効期間がある繰越控除として残ります。



Ⅲ.最後に

株で損した場合も、確定申告で高い税金の節税が可能となります。

株で損した場合、その損失は、将来発生するの利益の納税を軽減する働きを担うため、損の確定申告(繰越控除)は、非常に重要な資産運用手段にもなります。

従って、「特定口座で源泉徴収選択」であっても、損失の場合は、確定申告が重要な資産形成の機能を果たします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※参考☞「確定申告|1月はe-Taxで還付申告の準備をしよう!

ーーーーーーー 完 ーーーーーーー

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