老後の安心には定年迄に住宅ローンを完済し退職金は老後資金に充当が賢明!

年金2000万円問題は、老後30年を安心して暮らすには公的年金だけでは2000万円程度足りず備えの必要性を投げかけました。

このため、当記事では、住宅ローンを抱える方々を想定し、繰り上げ返済によって定年時までに住宅ローンを完済し、定年退職金を公的年金の補完として老後資金に備える重要性と上手な進め方の留意点をご紹介します。

多くの方が老後に不安を感じることは、健康問題とお金の問題だと言われますが、お金に関することは、健康問題を含めて老後の安心を確保するために最も重要な問題であり十分な備えが必要です。

1.年金2000万円問題では老後生活は公的年金だけでは賄えず資金準備が必要と問題提起!

年金2000万円問題として、老後(労働収入がない)を安心して暮らしていくためには2000万円位の金融資産が必要になるとの金融審議会の答申が話題になりました。

つまり、老後の第一の収入である公的年金の老後30年間に受け取る収入だけでは総額2000万円ほど足りなくなるというものです。

公的年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)が、夫婦二人(夫会社員40年、妻専業主婦40年)合わせて288万円(夫78+132=210万円、妻78万円 合計288万円)だとすると月額は「24万円」となります。

※年金の算定方法は、「あなたの老後大丈夫?大切な公的年金いくら位になるかご存知?)」に掲載の「老齢厚生年金額テーブル表」に当てはめて算出。

老後の生活費を「26万円」(総務省の平成29年家計調査報告)とすると公的年金「24万円」では2万円足りなくなります。

これでは、家の補修や万一の際の出費には対応できなくなります。



2.退職金は不足する老後資金に充当すべし!

定年退職金は、永年の功労の賜物であり老後生活を支える貴重な資金となりうるものです。

それだけに、老後生活を安心できるものにするためには、退職金を住宅ローンや他の負債の穴埋めに消失させるようなことは、極力避けて、できれば老後資金の不足分を賄えるようにしたいものです。

※仮に定年退職金を1800万円(大卒+高卒の平成30年の厚労省の就業条件総合調査結果)の退職金を老後30年に亘り生活費に充てるとすれば、年60万円、月額にすると「5万円」となります。



3.退職金全てを老後資金に回すには定年以前に住宅ローン完済が必要!

退職金全てを老後資金に充当するためには、住宅ローン返済は現役時代に完済しておきたいものです。

1)住宅ローン完済には繰り上げ返済を上手に利用することが重要!

現在は非常に低金利であるために繰り上げ返済に消極的で、むしろ余裕があれば株式投資などに回し運用益を得たいと考えている方が多いのではないかと感じます。

しかし、投資にはリスクが伴い、ある日突然に利益が吹っ飛んでしまうことや思うようにいかなることが多くあります。

初めてマイホームを購入し住宅ローンを組んだ時は、無理なく返済できる月々の返済額を設定されていると思います。

しかし、収入が増えても余裕額を他に回しローンをそのままにして多額の返済額(元金+金利)を払い続けることはつけを先送りしていることになりかねません。

従って、現役時代の余裕資金は、必要最低限の投資を除いて極力、住宅ローンの繰り上げ返済に回し完済を目指すことをおすすめします。(もちろん、利殖等に長けて自信のある方は利殖で利益を得つつ繰り上げ返済を速めていければ結構なことです)

当然ですが、融資銀行に対し繰り上げ返済は遠慮する必要は一切必要ありません。

2)住宅ローンの繰り上げ返済は、想像以上に効果が大きい

通常の物品購入などのローン設定で繰り上げ返済する時は、利息分も入れた返済額となりますが、住宅ローンの繰り上げ返済は、繰り上げ返済額そのものが全額、元金の返済となります。

従って、元金にかかる利息も減らすことになります。

つまり、繰り上げ返済の最大のメリットは、元金を減らすことで本来支払うはずだった利息がカットできることです。

3)繰り上げ返済は、「返済額軽減型」よりも「期間短縮型」がおすすめ!

繰り上げ返済には、月々の返済額は変わらず返済期間を短縮する「期間短縮型」と返済期間を変えず月々の返済額の軽減を図る「返済額軽減型」があります。

同じ返済額でも「期間短縮型」の方が返済総額を大きく減らすことができます

家族の状況やご自分の健康状態、または転職などを考えている場合は月々の返済額負担を軽減させる「返済額軽減型」を優先される必要があるかも知れませんが、そうでなければ、極力「期間短縮型」を目指した方が後々の生活設計が立てやすくなります。

いずれにしても、繰り上げ返済で利息返済額が大きく減らせ支払い総額を少なくすることができることになります。

このことにより、定年までの限られた収入の中で住宅ローンの完済に近づけます。

なお、「繰り上げ返済は早いほど支払総額を大きく減らせる」ことを念頭においておきましょう。

4)現在のローン設定が「変動金利型」の場合は、低金利の時期に固定金利型への乗り換えが安心!

一方、金利環境は永く低金利が続いていますが、経済環境の変化によっては、ある日突然、高金利へ転換する可能性があります。

そうなると、高金利への転換=株価急落などの投資環境悪化と同時にローン金利も跳ね上がることもあり得ます。

現在は長期に亘って低金利が続いており多くの方は、住宅ローンを「固定金利型」よりも金利が低い「変動型」で組んでいる方が多いと思われますが、金利が上がると想像以上に負担増を強いられる可能性があります。

下表のとおり「1%」の金利の違いが35年で比較すると約7百万円の利息増加となります

今の非常に低い金利にある「固定金利型(特に35年)」は、特に返済期間が長い設定の場合、大変魅力のあるものです。

従って、現在が「変動型」の場合は、繰り上げ返済に際し、固定金利型への乗り換えも併せて検討されることをおすすめします!

金利の違い(変動)による返済額の比較

金利(年利) 0.5% 1% 2% 3%
融資額(万円) 3,000 3,000 3,000 3,000
返済期間 35年 35年 35年 35年
返済総額(万円)、融資額対比 3,271 3,557 4,174 4,849
1.09倍 1.19倍 1.39倍 1.61倍
利息総額(万円) 271 557 1,174 1,849
月々返済額(円) 77,875 84,685 99,378 115,455

以上を一つの参考に、上手に繰り上げ返済を進めて定年前に住宅ローンの完済ができるよう頑張ってください!


4.最後に

老後の安心には公的年金だけでは不十分なため定年退職金を充当できるよう住宅ローンを繰り上げ返済により定年までに完済することをおすすめします。

なお、繰り上げは「期間短縮型返済」を選択し、金利選択では、高金利移行前の固定金利型への乗り換えをおすすめします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

なお、関連する下記記事もご覧いただければ幸いです。

・貴方の老後大丈夫?老後の安心に退職金は不可欠
・あなたの老後大丈夫?大切な公的年金いくら位になるかご存知?
ーーーーーー完ーーーーーーーー