コロナ非常事態対応に見る日本の政治関係者、厚労省の課題認識の欠如

遅れをとる日本のワクチン接種、進まぬ国内産治療薬とワクチン開発

世界各国では、既に多くの国民にワクチンの接種が進められている中で、日本では漸く、医療従事者への海外産のワクチンの接種がスタートしました。

茶の間では、テレビ報道を受けて、「ワクチン確保は大丈夫だろうか?」「いつになったら国民全体が受けられる様になるだろうか?」「ロシアのスプートニクは優れていると評価されたのでそちらも検討すべきではないか?」などと、政府のワクチン確保と接種スケジュールの不透明性に困惑しているのが実情です。

焦る国民の危機感を映す「コロナ治療未承認薬輸入」の報道

巷では、コロナへの治療効果があるなどとして、未承認薬が輸入されているという。

しかし、こういったことが生じるのも、元はと言えば、余りにも日本政府や厚労省のワクチンや、治療薬への対応が遅いことが発端となっているということではないでしょうか?

現実に、入院施設数の確保難から自宅療養で命を落とされる方が後を絶たない。

厚労省が、「安易な服用を控えて」と呼びかける以前に、なぜ世界に後れをとっているのかを反省すべきではないでしょうか?

「コロナ治療」で広がる輸入 未承認薬、厚労省「安易な服用控えて」   時事通信243

 新型コロナウイルスの治療薬として臨床試験(治験)中の抗寄生虫薬などを、海外から取り寄せる動きが広がっている。

ただ、国が承認をしていない薬は、副作用などが出ても救済対象にならない可能性がある。厚生労働省は未承認薬の安易な服用を控えるよう求めている。

現実に、毎日多くの方がコロナ感染で命を失っている中で、政府、特に厚労省には、海外で承認されたワクチンの承認審査への早期対応、あるいは国内における治療薬やワクチン開発への積極対応姿勢が一向に見えてこないのも事実ではないでしょうか?

遅い日本政府・厚労省の新型コロナのワクチン、治療薬確保への対応

今朝の日経新聞一面に「富士フイルム、アビガン治験再実施」という記事がありました。

え!まだそんな段階?

安倍前総理が昨年5月には承認される見込みがあると言われ、数多くのアビガンで救われた患者の報告や中国をはじめ海外で承認され治療薬として利用されているにもかかわらず、うまくいって今年の12月承認とは?

何とも、厚労省には「国民に早く治療薬を利用できるようにしたい」という当事者意識が感じられないのが実情。

富士フイルム、アビガン治験再実施  2021年2月21日  日経

富士フイルムホールディングスは、(略)「アビガン」を4月にも臨床試験を再び実施する方針を固めた。(略)政府は2020年12月に判断が難しいと承認を見送っている。再審査は10月メドの治験終了後になる可能性がある。

アビガンは(略)観察研究で、既に約1千の医療機関で実質的に治療に使われていて、承認されれば幅広い医療機関で使えるようになる。

アビガンの昨年の治験が、医師が投与した薬が本物か偽物かを知った状況で実施したとして厚生労働省の専門部会は承認を見送った。

新たな治験は、医師も患者も投与する薬が本物か偽薬か分からない状態で実施し客観性を担保する。

恐らく、米国等でのアビガンの治験が進んでいることから、そちらの承認が早く決まる可能性が高いと思われる。そうなれば、生みの日本が未承認では何ともお粗末な非常時での国内対応だとのそしりは免れないのではないでしょうか?

日本では、ワクチン確保、接種見通しが未だに不透明

「ワクチン調達が思ったように進まない。国民全体に行きわたるのはいつの日になるから分からない」といった連日のテレビ報道などで、国民は、日本のスピード感に危機感が募らせています。

今朝の日曜報道では、「ロシアのスプートニクが効果が高いと報じられているので、日本も接種の対象に検討すべきではないか?」といったことが論じられていました。

海外では、ワクチン接種は、大量に接種が進んでいるにもかかわらず、日本は、ワクチンの確保と国民全体への接種の見通しが立たない事態を陥っています。

NHK|ワクチン接種、世界の状況と日本が遅れた背景は?

2月18日に下記のようなNHK記事が掲載された。

やはり、非常時対応にブレーキ役がいることが判ります。「遅れは、決して悪いことではなく、他国の状況を見て判断できるメリットもある。」という主旨の発言が力を持っているという事実です。

通常時はいざ知らず、世界が未知のコロナウイルスの恐怖にさらされ、毎日大量の死者が出て早期のワクチンや治療薬を待ち望んでいるというのに!

今回のコロナ対応で、非常時対応ができない政府、厚労省が浮き彫りにされた気がします。

【ワクチン接種】世界の状況は? 日本が遅れた背景はどこに?

NHK  2021年2月18日

世界では、70を超える国で、接種が始まっていて、少なくとも7種類の新型コロナウイルスワクチンが実際に使用されてれています。17日に接種が始まった日本は、G7の中で最も遅い接種開始となるなど遅れをとりました。17日時点で、全世界で接種を受けた人は、中国など含まずで9157万人。

日本 “G7の中で最も遅い接種開始” 遅れた背景は?

G7で見ても、イギリスで去年12月8日に接種が始まった後、各国で12月中に始まっており、日本はG7の中で最も遅くなりました。
この背景について専門家はワクチンに対する考え方や危機管理への意識の違いがあるとしています。
具体的には、一部の国ではワクチンの接種を早めようと、国内での臨床試験を行わず、海外でのデータをもって承認するケースもありますが、日本国内では、海外メーカーのワクチンについても、法律に基づいた手続きで小規模ながら臨床試験が行われ、日本人でも安全性と有効性が確保できるか、慎重に確認が行われました。
これについて政府の分科会のメンバーで川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「遅れによって、国内外での臨床試験の結果に加え海外で実際に接種が始まったあとの効果や副反応の状況を参考にしながら接種を進められる側面もある。ワクチンの安全性は接種がどう行われるかにも影響を受けるので、遅れを取り戻そうと自治体で接種率を競うなど、現場に焦りを強いることは避けるべきだ」と話しています。
一方で、国内でのワクチン生産体制の確保は日本の感染症対策の課題になっていて、2009年に当時の新型インフルエンザの流行後に政府の対策を振り返った報告書でも当初、ワクチン確保が難しかった経験から「国家の安全保障という観点からも可及的速やかに国民全員分のワクチンを確保するため、製造業者を支援し、ワクチン生産体制を強化すべきである」としていました。
ところが今回、国内では、少なくとも10のグループが新型コロナウイルスのワクチン開発を行っていますが、比較的小規模なメーカーが多く、実際に人に投与する臨床試験に入っているのは、大阪のバイオベンチャー企業「アンジェス」と製薬大手の塩野義製薬の2社で、ほかは臨床試験に入る前の動物や細胞での実験の段階などとなっていて、欧米のメーカーに遅れをとっています。

尾身茂会長は「日本のワクチン業界は、世界と比較すると欧米の非常に競争力の強い企業に比べて、どうしても弱くなってしまう。新型コロナウイルスへの対応以前からの問題として、ワクチン業界の世界的な競争力の違いが本質にあったのではないかと考えている」と指摘しています。

ここでは、2009年当時の感染症対応の遅れの反省が生かされず、薬品メーカーなどへの政府支援の乏しさ、意識の欠如が問われています。

尾身会長が、「ワクチン業界の世界的な競争力の違いが本質にあった」と言っていますが、ならばこそ、一層、政府の支援が必要とされているのではないでしょうか?

どうして日本ではワクチン確保、接種の見通しが立たないのか?

海外でワクチン接種が進んでいるにもかかわらず、日本は、ワクチンの確保と国民全体への接種の見通しが立たない事態に陥っているのか?

国民が非常事態に陥っているのに、政府は、治療薬やワクチンの早期投与に向けた行動が乏しいのか?

国民の命を守る為に、治療薬、ワクチンを国民に投与できるようにしたいのであれば、民間会社任せにせず、もっと積極的な推進役をなぜ果たそうとしないのか?

これらは、政府、厚労省、政治家に、新型コロナのような世界的規模で危機にさらされた非常事態時に、国民の命を守ることを最優先させた非常時対応ができないことが起因していると考えます。

国でなければできないことへの自覚、当事者意識が欠如している思われます。

海外で承認されたワクチン、治療薬は即刻、日本でも治験をスタートさせるべきだった!

危機感と国民の命を守る当事者意識があれば、海外で承認されたワクチン、治療薬は即刻、日本でも治験をスタートさせ確認するべきだと思います。

中国やロシアはいち早く、イギリス、米国、欧州等は2カ月前からワクチン接種が進んでいるというのに、日本では、漸く、形だけの承認審査を経て接種がスタートした。

しかし、ワクチン確保の見通しが未だに立たず、接種スケジュールも定まらない事態を招いています。買い付け予約さえすれば事足りるという認識では、いざ、受け入れるに際しても承認審査が必要になるばかりか、万一ダメな場合は一層遅れが生じることになります。普通の感染症なら別ですが、今回のような世界的規模の未知感染症に対しては、他国で承認されたワクチン、治療薬があれば、一刻も早く、それを国内でも治験をスタートさせるリスク対応が不可欠です。

政府に、ワクチン、治療薬開発承認に向けた積極支援と非常時対応を求む

コロナのような未知で恐るべき感染症に世界の国民が危機にさらされている中では、非常事態宣言で密を避け感染者を隔離するなどの感染防止策の徹底も必要不可欠ですが、治療薬、ワクチンこそ一刻も早く国民に提供できることを考えるのが政府、厚労省の最大の使命ではないかと考えます。

国内での開発や治験を民間任せにせず、積極的なリーダーシップを持った対応を期待したい。

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